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イラク拘束経験者の今井紀明さん、今治で講演 「孤立する若者を助けたい」

2月9日に今治ホホホ座で講演を行った、認定NPO法人「D×P」代表理事の今井紀明さん。

2月9日に今治ホホホ座で講演を行った、認定NPO法人「D×P」代表理事の今井紀明さん。

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 認定NPO法人「D×P」代表理事の今井紀明さんが2月9日、今治ホホホ座(今治市共栄町1)で講演を行った。会場には教育関係者や福祉関係者、学生、市民らが集まり、孤立する若者への支援のあり方について耳を傾けた。

今治ホホホ座 今井紀明さん講演の様子

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 今井さんは高校生の頃、イラクでの支援活動中に武装勢力に拘束された経験を持つ。帰国後、社会からの厳しい批判や誹謗(ひぼう)中傷を受け、対人恐怖症となった時期もあったという。「あの時、自分を支えてくれた友人や家族がいたから今がある」と振り返り、「自分は『運がよかった』で終わらせるのではなく、引きこもりや不登校など孤立している若者のために動きたいと思った」と当時の心境を語った。

 その経験を原点に2012(平成24)年、同NPOを設立。「一人一人の若者が自分の未来に希望を持てる社会」を掲げ、孤立する10代に寄り添う支援を展開している。現在はLINE相談窓口「ユキサキチャット」や食糧支援、居場所づくりなどを通じて、経済的困難や家庭環境の問題、不登校などさまざまな背景を抱える若者とつながり続けている。

 講演では、コロナ禍以降に顕在化した若者の孤立についても触れ、大阪・ミナミの繁華街での取り組みを紹介した。今井さんらは当初、道頓堀で週1回の「フリーカフェ」を開設し、お菓子や飲み物、生理用品などの配布を通じて関係づくりから始めた。その後、若者が安心して過ごせる拠点として「ユースセンター」を開設。現在は週2回開所し、温かい食事を提供するほか、ゲームや会話、休憩など自由に過ごせる空間を設けている。

 特徴は、あえて「相談所」にしないことだという。「まずは雑談できる場所にする。そこから自然に困りごとを聞き取り、必要があれば病院や住居探しに同行する」。センターの年間利用者は延べ4,000~5,000人に上る。

 利用する若者のうち約3割は住居が不安定な状態にあり、友人宅や知人宅を転々とするケースもある。病院同行や生活保護申請の支援、妊娠相談など、年間400回以上の同行支援を行っているという。「困っていても『助けて』と言えない若者が多い。だからこそ、支援する側からつながりにいく姿勢が必要」と強調した。

 参加者からは「自分たちの地域でもできることを考えたい」「困難に直面している人を“自己責任”で片づけるのではなく、支え合える社会になってほしい」などの声が聞かれた。

 講演を主催した、今治ホホホ座の代表であり、学校になじめない子どもたちを受け入れる「今治高等学院」を運営する豊島吾一さんは「親や学校に頼れない若者の存在を、まずは知ってほしい。都会だけでなく、地方にも違った形で孤立はある。地域の中に小さくても安心できる居場所を増やしていきたい」と話した。

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