元サッカー日本代表選手の本田圭佑さんが考案した小学生向けの4人制サッカー「4v4(フォー・ブイ・フォー)」の大会が8月19日、今治市営スポーツパーク(今治市高橋ふれあいの丘)で開かれた。
小学校低学年からサッカーに熱中する子どもが多い一方で、U10の全国大会がないことを課題に感じた本田さんが考案した同競技。フットサルと同じ面積のコートで、4対4の10分間ゲームで得点を競う。選手が主体的に考えられるよう、監督やコーチはベンチに入れず、観客も指示を送ることは禁止されるなど、独自のルールを設ける。
今回、初となった今治での大会開催。主導したのは、FC今治高校明徳校に通う1年生の田口美羽さん。小学1年生でサッカーを始め、現在は高校生活を送りながら、FC今治レディースNEXTに所属する。
広島県出身の田口さんは、中学生時代に「読書科」の授業で「女子サッカーの普及」をテーマに探究。男女サッカーの待遇の差や世間の注目度の差に疑問を抱いてきたことがきっかけだった。
「女子サッカーの歴史やJリーグの成り立ちに関する本を読む中で、成功していると言われているサッカークラブには『地域密着』という共通点があることに気づいた。同時に、スポーツにおける格差解消などに取り組む本田圭佑さんの存在を知り、その思いや行動に強く引かれた」と田口さん。その後、本田さんが代表を務める「NowDo」に手紙を送ったところ、昨夏、本田さんと対面する機会を得た。
「とにかくものすごく緊張した」という対話の中で、「4v4を開催してみては」という提案をもらったことが、今回の開催につながった。一方で高校受験を控えていた田口さん。「『地域密着型』のクラブでプレーしたい」との思いからFC今治を志願。ユースの選手も複数在籍する同校に進学し、寮生活をしながら学業とサッカーを両立する。
大会開催の話が動き出したのは1カ月ほど前。これまでの経緯を学校で教員に話したところ、『ぜひやってみたら』と後押しを得た。同校とNowDoが共催し、所属するFC今治もサポートする形で開催が決まった。当日に至るまで、スケジュール管理や役割分担など、先頭に立ってイベント運営を担った田口さん。当日は12チーム、60人近くの小学生が参加した。
「参加した子どもたちに『楽しかった』と言ってもらえて、うれしかった。初めての経験でバタバタだったが、チームの仲間や先生たちが協力してくれて、本当にありがたい気持ちでいっぱい」と振り返る。
会場を訪れた本田さんとも、1年ぶりの再会を果たした。
「改めて『サッカーにおける課題解決に挑戦したい』『サッカーを通じて社会に貢献したい』という夢や目標を伝えた。本田さんからは『今回の経験を次につなげてほしい。応援してます』と声をかけられ、握手を交わした」と声を弾ませる。
今後については、「協賛を募るなどしながら、大会の規模を大きくしていきたい」と田口さん。「大会の収益を社会貢献に役立てたい」と力を込める。