製造したサウナハットが大口契約のキャンセルで在庫の山となり、窮地に陥った今治のタオルメーカーに、同じく今治市内で温浴施設を営む企業が救いの手を差し伸べた。
企業の名は「キスケ」(松山市)。担当の臼意卓さんは「今治タオルメーカーが製造したサウナハットが大口注文のキャンセルにあい、大量の在庫を抱える事態となった。これまで取引のなかったメーカーだが、同じく今治で温泉施設を運営している縁で相談が寄せられた」と経緯を話す。
同社では既に別の今治タオルメーカーと共にオリジナルのサウナハットを販売していたが、「地域の企業を応援したい」と在庫の買い取りを決意。「在庫の一部」である300個を買い取った。
買い取ったサウナハットには既に別ブランドの刺しゅうが施されていたが、同社が展開する自社オリジナルブランドの刺しゅうを重ねることで対応。販売のラインアップに新たに加え、6月20日、店頭とオンラインで販売を始めた。
同社が手がける「しまなみ温泉 喜助の湯」(今治市)は、民間企業が発表する「人気サウナランキング2024」で西日本5位、全国でも10位を記録。系列の「伊予の湯治場 喜助の湯」(松山市)は、2年連続全国1位に輝くなど、サウナ好きから高い人気を集めている。
臼意さんは「これまでもサウナハットの売れ行きは好調で、今回の在庫の買い取りでも地域に貢献できるのではないかと思った」と話す。今回を機に、当該メーカーとの取引を新たに始め、300個の在庫が完売しても追加で生産できる体制を整えたという。
「キャンセルでの過剰在庫というと、『売れ残り』のようなイメージを持つかもしれないが、れっきとした今治タオルの商品。使い捨てではなく、永く使ってもらえる商品なので、サウナーの方に愛用してほしい」と呼びかける。