
今治市出身・在住の画家、仙波さくらさんの個展「Kindness(カインドネス)」が5月16日、ギャラリーカフェ「ウッド・ブロック」(今治市玉川町長谷)で始まった。
仙波さくらさんの個展が開催されている玉川町の「ギャラリーカフェ ウッド・ブロック」
展示作品は、柔らかい曲線が印象的な抽象画や、大胆ながら繊細な色彩で描かれた風景画、ポップアートなど、油絵作品を中心に33点。そのうち半数ほどは、今回の個展に向けて描き下ろした新作。中には蒼社川や織田ヶ浜といった今治市内の景色をモチーフにした作品も多く並ぶ。
仙波さんが絵に出合ったのは小学3年生の頃。今治NPOサポートセンター(別宮町)が運営する「いまばり夢学校」の授業でのことだった。同学校は、地域の子どもたちを対象に、地域の大人が先生となり、身近な生活課題や豊かなまちづくりについて学ぶ授業を複数開講するもので、仙波さんは旧鈍川小学校(玉川町鈍川)で開講された「芳絵画教室」が行う授業に参加した。
「それまでも絵は好きだった」という仙波さん。参加した際に、教室を主宰する角田芳子さんから絵画教室に誘われ、その後、およそ10年にわたり師事。今治工業高校デザイン科(当時)卒業後は、「絵は好きだが、仕事にする感覚はなく」一度は県外の大手メーカーに就職した。
転機を迎えたのは2019年、25歳の頃。仕事に行き詰まりを感じ、ふと手元のスマホで配信しながらライブペイントをしてみたところ、徐々にフォロワーが増えた。「配信を見てくれた方の『元気が出る』というコメントや、絵を購入してくれる方に励まされ、画家になることを決意した」と振り返る。
現在は今治市にUターンし、市内に構えるアトリエで制作に励む。大切にしてきたのは「誰かの心に、光が差すような、そんな絵を描きたい」という思い。2023年にはクラウドファンディングで目標金額を倍を上回るおよそ130万円を集め、東京都内で初の個展を開催。多くのフォロワーやお客さんが足を運んでくれたと振り返る。
今回、地元での個展は初開催となる。「自分にとっての『始まりの場所』でもある玉川町で個展をさせてもらえて、ありがたい」と仙波さん。ギャラリーを経営する版画家の薦田登志夫さんは「今治にここまでの抽象画を描く画家はなかなかいない。貴重な存在」と評する。
仙波さんは「老若男女を問わず、いろいろな人に気軽に足を運んでほしい。普段、抽象画を見る機会がなくても、気楽に楽しんでもらえたら。抽象画以外にもいろいろな作風で描いているので、好きなものに出合ってもらえたら」と話す。
開催は金曜・土曜・日曜の11時~18時。観覧無料。6月1日まで。