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終戦80年、今治市で「父と暮せば」公演 地元出身俳優が企画

今回出演する今治市出身の曽我部洋士さん(右)と、高知県高知市出身の高見美儀さん(左)。「同じ四国出身の役者が地元四国で演劇ができるのもうれしい」と曽我部さん

今回出演する今治市出身の曽我部洋士さん(右)と、高知県高知市出身の高見美儀さん(左)。「同じ四国出身の役者が地元四国で演劇ができるのもうれしい」と曽我部さん

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 井上ひさしさん作の戯曲「父と暮せば」が9月18日~21日、今治ホホホ座(今治市共栄町)で上演される。

今治市で「父と暮せば」公演 終戦80年に合わせ

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 「父と暮せば」は1994(平成6)年に初演され、以後、さまざまな劇団が公演を行うだけでなく、書籍化や映画化もされた作品。原爆投下から3年後の広島を舞台に、生き残ったがその負い目を抱える娘と、彼女の前に幽霊として現れる父親の交流を描いた人間ドラマ。

 今回の公演を企画したのは、今治市出身の俳優・曽我部洋士さん。現在「劇団狼少年」に所属して全国各地の公演に出演するほか、国内外の映画、ドラマなどにも出演している。今まで役者として多くの作品に携わってきた曽我部さんが今回、「父と暮らせば」の演目を今治で開催したいと自ら企画。父親役として出演するのに加え、演出や小道具・大道具などの裏方も担う。

 「『父と暮せば』の演目を観客として初めて見た時に、二人芝居なのに1時間以上も観客を引きつけていたことや、戦後間もない頃のリアルなストーリーなど、内容にも演劇にも大きな衝撃を受けた。『いつか父親役をやってみたい』と願っていて、今回、『戦後80年に合わせて行う意味があるのでは』と思い企画した」と経緯を話す。

 「これまでは作品を作るというパッション(情熱)で、演出家やお客さまに喜んでもらえる芝居をしていたが、『本当にそれだけでいいのか?』と疑問に思うようになった時期に出合った作品でもある」と曽我部さん。「『戦争』や『原爆』がテーマの作品。戦争を知っている人が少なくなり、戦争を題材にした作品も減っていて、また同じことを繰り返してしまうかもしれない中で、自分にできることは何かと考えた時、演劇で表現することだと感じた。作品を通して社会に伝え貢献したい」とも。

 9年前にはNHKの番組内で、元広島平和記念資料館館長の小倉馨さん役を演じたこともあるという。「小倉さんは世界の学者と共に、広島の惨状や被害を世界に発信して原爆の恐ろしさを広く伝えた方。小倉さんの奥さまで被爆者として語り部をしている桂子さんに話を聞いたことも、今回につながっている」と曽我部さん。

 そんな曽我部さんの思い入れのある作品で娘役を務めるのは高見美儀(みのり)さん。高知県出身の26歳で、曽我部さんとは1年ほど前に出会い共演経験もある。今回の作品について「役者を志すきっかけとなった人も、自分が好きな画家も、世界や子どもの平和を願う人で、自分もその心持ちで芝居を続けていた。そんな時に曽我部さんから声をかけてもらい快諾した」と高見さん。曽我部さんも「素朴でピュアだけど、負けん気もある」と高見さんの魅力を話す。

 「演劇を見る機会が少ない今治で、ライブ感を得られる貴重な機会。スマートフォンやインターネットなどが当たり前の世界で、面と向かう場面が減っている今だからこそ、生の良さを肌で感じながら家族愛や平和について考えるきっかけとなれば」と来場を呼びかける。

 公演は4日間で6公演を予定。開演は、18日・19日=18時、20日=14時・18時、21日=13時・17時。料金は、前売り=3,500円、当日=4,000円(学割も用意)。チケット予約は専用フォームで受け付ける。

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