南宝来町の菓子店「マルズミ」が店の一部を縮小し、その跡にピザ専門店「pizzeria kuroneko（ピッツェリア・クロネコ）」（今治市南宝来町）がオープンして、4月5日で1カ月がたった。

　同店はハミルトン・ダニエルさんと妻の村上真矢さんが経営するピザ専門店。ダニエルさんはオーストラリアのシドニー出身、真矢さんは今治市出身。真矢さんがワーキングホリデーでオーストラリアに1年半ほど暮らした際に出会い、19年前にダニエルさんが真矢さんを追いかけて今治市に移住した。

　ダニエルさんはオーストラリアでもイタリアンシェフとして活躍。「父の家族はイタリアからオーストラリアに移り住んだ移民で、自分自身のルーツも感じイタリアンシェフになった」とダニエルさん。今治に移住してからは料理人のほか、技能実習生に関わる業務や英語の先生を経験しながら、「徐々に自分の店を持ちたいと思うようになっていった」という。

　真矢さんは海運会社の事務職として勤務していたが、店を構えることについて、「夫が輝ける場所だと思い、賛成した」と話す。開業の計画を立て、ダニエルさんは「なまった腕を鍛えに」広島県のイタリアンレストランで1年間修業したが、コロナ禍に見舞われた。自宅の庭にピザ窯を作りピザ体験のイベントを開くなどして、機が熟すのを待った。

　同時に物件を探し、偶然見つかった「マルズミ」店舗跡が気に入ったという。「床のタイルなど、レトロでかわいく、あえて残して改修した」とダニエルさん。店には輸入品のピザ窯を据えた。

　提供するのは地域の食材や旬の素材をできるだけ使ったピザや前菜。ピザは定番の「マルゲリータ」の他、海の幸をトッピングした「村上海賊」や季節限定の「サルシッチャと菜の花」など6種をそろえる。

　真矢さんは自身が飲食店でのサービス業に関わるのは初めてだというが、「夫に教わりながら」夫婦二人三脚で運営する。「今の夫が一番生き生きしている」と話す。

　ダニエルさんは「コロナ禍のピザ体験から応援してくれているお客さまもいて、ありがたい。楽しい雰囲気で食べ飲みができる店にしたい。県外や海外のお客さまにも、もっとアピールしていきたい」と意気込む。

　営業時間は、11時30分～14時30分、17時30分～20時30分。日曜と第2・第4月曜定休。