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今治・波方に喫茶店「わのま」 昭和レトロの旧レストラン活用、交流の場に

地域おこし協力隊として昨年今治市に移住し、「わのま」をオープンした鈴木恵理さん

地域おこし協力隊として昨年今治市に移住し、「わのま」をオープンした鈴木恵理さん

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 「みんなで創る喫茶店」をコンセプトに掲げる「わのま」(今治市波方町)がオープンして、4月6日で3カ月がたつ。

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 店を開いたのは、今治市の地域おこし協力隊員として、昨年、同市に移住した鈴木恵理さん。東京都出身だが母方の実家が今治にあり、祖父は船乗りだったため波方にも縁があった。

 以前は東京や広島でシェアハウスを運営していた鈴木さん。「今治にも若者が気軽に住める場所を作りたい」と構想し、その前段階として、居場所や雇用の場になればと「わのま」を立ち上げることを考えたという。親戚の紹介もあって物件を借りられることになり、実現に至った。

 店は梅若海運(波方町)が管理する、かつてレストラン「オリエンタル綾」として営業していた施設を活用。豚汁定食(700円)や米粉のチーズケーキ(600円)のほか、はちみつレモン(400円)などのドリンクを提供する。

 鈴木さんは「店内を整えてから開業しようとすると、いつになっても店を開けないと思った。自分一人でやれることには限界がある。人の手も借りながら、『みんなで創っていきたい』という気持ちを込めて、最低限の改修を経てオープンした」と話す。

 店内はかつてレストランやステーキハウスとして客をもてなしてきた設(しつら)えが残る。「電話ボックスがそのまま残っていたり、2階には社交ダンスをしていたダンスホールがあったり、昭和の趣を残す豪華な建物。当時の英語表記のメニューも残っていて、提供していたヒレステーキは4,000円台。造船会社の関係者が接待に使っていたのでは」と鈴木さん。

 地域の人にとって思い出深い建物を再活用したことで反響もあったという。「昔、レストランの洗い場で働いていたというおばあちゃんがお客さんとして来店してくれ、懐かしんでくれた。少しずつ常連も増えてきて、人が多い時には客に手伝ってもらうこともある。応援してくれる人、店の運営に関わってくれる人を少しずつ増やしていきたい」

 シェアハウスの立ち上げにも前向きに取り組む。「地域で出会った海員学校に通う若者から、1年のうち9カ月は船の上だと聞いた。女子生徒は寮がなく、賃貸などで家賃を支払い続けていると聞き、驚いた。シェアハウスが困っている人の受け皿にもなれれば。いろいろな世代の移住者同士がつながれるコミュニティーになっていければ」と期待を込める。

 基本的な営業は週末の10時~15時、19~22時。営業日などはインスタグラムで知らせる。

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