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今治のタオル会社「丹後」、廃業予定だった会社を第三者継承して10周年 

左から「丹後」代表取締役・丹後博文さん、タオル事業部統括部長・村越幸太さん

左から「丹後」代表取締役・丹後博文さん、タオル事業部統括部長・村越幸太さん

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 今治のタオル会社「丹後」(今治市喜田村8)が7月7日で10周年を迎えた。

今治のタオル会社「丹後」40年稼働している織機

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 同社は、後継者不足から廃業を決めていた90年続いた老舗タオル会社を、10年前に第三者継承して誕生。前身の会社から数えると、今年で100年目という節目を迎えた。現在、伊勢丹新宿店や阪急うめだ本店にも直営店を構える自社ブランド「OLSIA(オルシア)」を筆頭に、サステナブルブランド「TANGONO(タンゴノ)」、OEMタオルなどを展開している。

 かつて500社以上を誇った今治のタオル工場は、現在80社前後までに減少している。その厳しい時代に、前身の社長から丹後博文社長が廃業の相談を受けた縁で、第三者継承し生まれた同社。丹後社長は「思ってもみなかったタイミングではあったが、『今治の地場産業を次の世代につないでいきたい』『タオルを通して幸せを増やしていきたい』との思いから、『タオル工場を自分でやりたい』と前身の社長に直談判し、第三者継承するに至った」と当時を振り返る。

 前身の会社から、26年にわたって働くタオル事業部統括部長の村越幸太さんは、新しい会社でのスタートに「正直、不安しかなかった」と振り返る。一方で「丹後にはタオルのことを分かる人がいなかったので、社長の後押しもあって『頑張ってみよう』と、残る選択をした」とも。

 「創業当初は取引先もなく、織機も動かせない日々。先も見えず必死だった」という村越さん。そんな中、印象に残っているのは初めて納品できた時のこと。「織り上がったタオルを持って社長の所へ行ったら、タオルに頬ずりして喜んでくれた」と懐かしむ。現在は伊勢丹新宿店や阪急うめだ本店に直営店を持つまでに成長したが、村越さんは「最初は認知度ゼロからの挑戦だったが、ようやく花を咲かせる時期になったと感じている。この10年を通して継続の難しさを実感したが、それがなかったら会社の成長もなかった」と話す。

 今後の展望について、丹後さんは「パリの百貨店でポップアップを出店した経験もあり、今後は海外への販路拡大を目指したい。タオルを買う人を幸せにすることが、タオルを作る社員の幸せにつながる。タオルに関わる全ての人の幸せの量を増やしていきたい」と意気込む。

 工場に併設するファクトリーショップ「OLU FACTORY by Tango」の営業時間は10時30分~17時30分(土曜は9時30分~16時30分)。日曜・祝日定休、土曜は不定休。

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