
サッカーJ2・FC今治のホームスタジアム「アシックス里山スタジアム」(今治市高橋ふれあいの丘)で9月7日、ワイン用ブドウの初収穫が行われ、約200房のブドウが収穫された。「里山スタジアムで収穫したブドウでワインを醸造する」というクラブの夢が、約3年を経てようやく実を結ぼうとしている。
この日、収穫作業には「ヴィンヤードクルー」と呼ばれるボランティアメンバーや、クラブの岡田武史会長、スタッフら約20人が参加。一房一房、丁寧にブドウを摘み取った。
ブドウ栽培を始めたきっかけについて、岡田会長は「スタジアム敷地の斜面を何かに使えないかと考えた時、思いつきで『岡ちゃんワインを造ろう』と言った。初めは誰も相手にしてくれなかった」と振り返る。2022年1月、スタジアムの東側斜面に試しに植えた10本の苗木を見て、「これ、結構いいかも」と手応えを感じ、256本まで拡大。しかし土壌の栄養不足や管理の難しさから多くの苗木が枯れてしまい、現在は約30本しか残っていない。厳しい現実に直面しながらも、4月には新たに40本を植え付け、再スタートを切った。
多くの苗木が枯れてしまったことについては、「正直、諦めていた」と本音を明かす岡田会長。その後も熱心に手入れを続けてくれた担当スタッフやボランティアメンバーには「めちゃくちゃありがたい」と感謝の気持ちを述べた。
「このクラブは自前の力だけでは成り立たない。たくさんの人の無償の力で成り立っている。このブドウ栽培も、試合運営も、地域の人々の思いに支えられている」と地域とのつながりの大切さを強調し、「(ワインが完成したら)世話をしてくれた皆さんと一緒に収穫祭をやりたい」と話した。
収穫されたブドウは、その日のうちに大三島にあるワイナリーに運ばれた。今後は同所で醸造が進められ、11月末ごろには待望のワインが完成する予定。