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「今治城の堀にダイバー?」 海とつながる堀で底質調査、アマモ再生へ

全国的にも珍しい構造を持つ今治城のお堀で、NPO法人ICPC(今治シビックプライドセンター)が、底に堆積した泥の状態を調べる底質調査を行った。

全国的にも珍しい構造を持つ今治城のお堀で、NPO法人ICPC(今治シビックプライドセンター)が、底に堆積した泥の状態を調べる底質調査を行った。

 「今治城の堀にダイバーが入っている」――2月7日、城を訪れた市民が足を止める光景が広がった。舞台は、海水とつながる全国的にも珍しい構造を持つ今治城のお堀。NPO法人「ICPC(今治シビックプライドセンター)」が、底に堆積した泥の状態を調べる底質調査を行った。

「今治城の堀にダイバー?」 海とつながる堀で底質調査

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 今治城の堀は瀬戸内海と水路でつながる「海城」の特徴を今に伝える存在。潮の干満の影響を受けるこの水域では、かつてカキの養殖が行われるなど、水産利用の歴史もある独特の水辺空間として知られている。

 「若者が帰って来られるまち」をテーマに、今治港や海を起点としたまちづくりを実践してきた同NPOは、海と直結する水環境があり、今治市民の誇りでもある今治城に着目。将来にわたって環境を守っていくために、継続的な調査を行ってきた。

 4年前から実施している生物調査では、「アメフラシ」「ウミウシ」など、天然の磯ではなかなか見られない生き物が堀の中で多数確認されている。同NPOの三谷秀樹さんは「人工の磯として外敵が比較的少ない環境の中で時間を重ねてきたことが、お堀の生態系の豊かさと希少性を物語っている」と話す。

 一方、実際に堀に入ると、足を取られるほどの泥の堆積や、場所によって深さが異なる状況に違和感を覚えたという。そこで2023年、堀内25カ所から泥を採取し成分分析を行った。結果はいずれも環境基準を満たしていたものの、泥は「浮泥(ふでい)」と呼ばれる、時間とともに堆積しやすい性質を持つことが分かった。

 「このまま放置すれば堆積量が増え、将来的に硫化が進む可能性もある」との懸念から、生態系や藻類の分布調査、貝類と泥の関係性の検証など、多角的な調査を重ねてきた。

 今回は泥の面積・体積を把握するための潜水調査を実施。当日は、これまでの調査で最も泥が深かった地点にダイバー2人が潜水。測量棒を使って泥の分布範囲を確認し、面積を算出するとともに複数地点で深さを計測した。

 三谷さんは「想定より泥の分布が広く、一回り小さい範囲での計測になった。泥の体積を算出できれば現状をより具体的に示せる」と話す。

 同NPOでは海草「アマモ」に着目した里海づくりや海洋環境保全にも取り組んでおり、水槽で育成したアマモを2月末にもお堀へ移植する予定。海とつながる特性を生かしながら、堀内での再生を目指す。

 これまでの調査結果は、3月21日に開く報告会「お堀環境報告会」で公表する。三谷さんは「海の問題は陸上の環境問題に比べて見えにくい。『守ろう』と言うだけでなく、まずは今どんな状態なのかをデータで客観的に示すことが大切。お堀の環境改善を市民の手で実現できれば、街への誇りや愛着につながるはず」と参加を呼びかけている。

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