稲わらで作った巨大な「わらシシ」が、芝桜と菜の花を背景に通りがかる人の目を楽しませている。
わらシシが設置されているのは、今治市玉川町鈍川神子森の県道沿いに位置する越智要さんの田んぼ。2014(平成26)年から、地域住民で結成する鈍川地区都市農村共生・対流協議会が主体となってわらシシを作り、旧鈍川小学校の近くの田んぼで展示してきた。同協議会による制作は2019年まで5年間続いていたが、コロナ禍で中断。「一度中断してしまったことを復活させるのは難しい。でも、途切れさせてしまうのはもったいない」と、保管されていた骨組みを越智さんが引き取り、昨秋、自身の田んぼを舞台に復活させた。
越智さんが引き取ったのは、2体いる「わらシシ」のうちの一体。制作にはわらの束が必要だが、稲刈りの際にコンバインを使うとわらが裁断されてしまう。そこで、「近所でも一軒しかない」という昔ながらの「稲木干し」で米作りをする農家に頼み、わらを調達。越智さんが数日間かけてわらを編み、集落の住民有志のサポートを受けて骨組みに巻き付け、昨年9月に設置した。設置して以降、「毎日のように、写真を撮っていく人がいる」と越智さん。「地域の人も喜んでくれている」と笑顔を見せる。
数年前に地域住民と景観美化のために植えたという芝桜と、今年初めて越智さんが種をまいた菜の花も、わらシシに色どりを添える。「菜の花はもう見ごろを過ぎつつある。終わったら、夏にかけて今度はヒマワリでも植えようか」と、次のアイデアも飛び出す。
「今後も地域の人たちと協力しながら続けていきたい」と越智さん。「多くの人に見に来てもらえたら」と呼びかける。