
ブックカフェ「Cafe Shozan(カフェ・ショーザン)」(今治市吉海町福田)が5月29日で5周年を迎えた。ガラス張りの窓から瀬戸内海の景色を一望できる同店は、神奈川県から移住した廣田俊雄さんと裕子さん夫婦が愛情を込めて作り上げた場所になっている。
移住のきっかけは、10年以上前にさかのぼる。高校時代を松山市で過ごした俊雄さんが旅行で故郷を訪れた際、今治名物「ラムリン」を求め立ち寄った今治市で、海の美しさに心奪われた。「いつかここで何かできれば」との思いから、10年ほど前に大島に土地を購入。その後しばらくは神奈川県での生活を続けていたが、俊雄さんが早期退職し、2019年、夫婦で念願の移住を果たした。
それまで専業主婦だったという裕子さん。俊雄さんも飲食業は未経験だったこともあり、当初は不安も感じていたという。「でも、大島には既にカフェもあったし、やってみないと分からない」と、夫婦での挑戦を決意した。
購入した土地に新築した店舗は、夫妻のこだわりが随所に詰まっている。材木のペンキ塗りや壁紙貼りは自分たちで手がけた。本好きの裕子さんの希望で大きな本棚も自作し、「移住前から集めていた」というお気に入りの書籍を並べる。動物好きが高じて、店内には動物をモチーフにした愛らしい雑貨も数多く置いている。「地元の大工さんと共に約1年かけて作った店」と振り返る。
オープン当初はコロナ禍の真っただ中だった。初の緊急事態宣言が明けたタイミングで開店し、「最初の3年ほどはお客さんもゆっくりとしたペースだった」。しかしその分、「島民の方々が来てくれたり、私たち自身もゆっくりとオペレーションに慣れたりすることができた」と前向きに捉える。ここ2年ほどは外国人観光客も戻り、サイクリストの来店も増えたことで、「島全体としても盛り上がってきた感覚がある」と裕子さん。新たな店が増え、移住者も増えるなど、島の横のつながりも広がっているという。
約2年前に古物商の許可も取得し、本の販売にも力を入れている。「選書も好きだし、人に薦めたい。選ぶのが楽しい」と目を輝かせながら話す裕子さん。「今後はチャンスがあれば、雑貨販売なども手がけていきたい」と、今後の展望を話す。
営業時間は10時~16時。火曜~木曜定休。