JR今治駅の高架下にある、「蔵」をイメージしたラーメン店。その一風変わった外観は、多くの今治市民に知られていることだろう。
「喜多方ラーメン 麺小町 今治店」(今治市北宝来町)が12月18日、1994(平成6)年の開業から30周年を迎えた。JR四国の直営店として開業し、現在もJR予讃線の今治駅・松山方高架下に位置する。店内には電車の音が響く。
喜多方ラーメンは福島県喜多方市のご当地ラーメンで、日本三大ラーメンの一つ。特徴的な麺は「平打ち熟成多加水麺」と呼ばれ、多くの水分を含み、コシと独特の縮れがある。喜多方直送の食材を使い、本場の味を提供する同店。人気メニューは「チャーシューメン」(1,000円)や「醤油(しょうゆ)ラーメン」(750円)。
▲チューシューメン(1,000円)。しょうゆベースのスープに中太ちぢれ麺がよく絡む
麺小町は1990(平成2)年に1号店が高知県内でオープン。四国内にフランチャイズ展開をしており、多いときは13店舗ほどが営業していたが、現在営業している麺小町は今治店1店舗のみ。ユニークな外観は、福島県喜多方でおなじみの「蔵」をイメージしたものだという。どうして喜多方ラーメンの店舗が四国で展開することになったのかを店長の片上英美さんに尋ねると、「よく聞かれるが、経緯を知る人がおらず、迷宮入りしている」という。
開業当時から30年にわたって働く面屋明美さんは「働き始めたころ、初めての飲食店の仕事に不安だったが、社員がとても優しかったので頑張れた」と振り返る。「常連が多く、30年間通い続けてくれているお客さまもいる」という。
片上さんは「ラーメンを提供しながら、たくさんのお客さまのストーリーを見させていただいた。小学生だった男の子がお父さんになって家族で食べに来てくれたり、妊婦だった人は子どもが生まれ、大きくなって食べに来てくれたり、家族3世代で食べに来てくれたり…。毎日通ってくださる人もいる。お客さまにおいしく食べていただけることが何よりうれしい」と話す。
30年間を振り返り、苦労したことを尋ねると、「やはりコロナ禍が大変だった」と片上さん。「売り上げはもちろん下がったが、想像よりもお客さまの数は減らなかった。地元のお客さまに本当に助けられている、支えられていると感じられた」という。
昨年12月の30周年当日には、お客さまに日頃の感謝の気持ちを伝えたいとイベントを開いた。店にはJR四国公式イメージキャラクターの「えきちゃん」も応援に訪れ、次の歩みに向けてエールを送った。
面屋さんと片上さんは「これからも地元の皆さんに愛され続ける店であるために、元気に働きたい」と意気込む。
営業時間は、11時~15時、17時~21時。月曜定休。