
無農薬栽培で育てるかんきつの苗を定植するイベントが4月5日、今治市大西町山之内地区のミカン畑で開催された。主催は生産者グループ「優樹(ゆうき)の里」。
ミカン畑が広がる山之内地区でかんきつ類を有機栽培する有機JAS認定の「井上果樹園」を中心に、2016(平成28)年に立ち上がった同グループ。代表の井上守さんが「かつては今以上にあちこちでミカンを育てていたが、農家の高齢化もあり、だんだんと少なくなっている。あと何年か後には、耕作放棄地ばかりになり地域が荒れてしまう」と危機感を募らせたことをきっかけに、思いに共感した生産者や加工・販売に関心ある会社などが集結。これまでにも研修の実施や搾汁ができるジュース工場の整備など、さまざまな取り組みを実施してきた。
今回の定植体験には大人11人と子ども9人が参加。同グループでは本年度、5人の農業研修生を県内外から受け入れており、当日は井上さんの指示の下、研修生が参加者に手ほどきをしながら、ブラッドオレンジの苗60本を定植した。晴天の下、土を懸命に掘り起こし、苗を優しく植える姿が見られた。定植後は収穫したかんきつで作ったジャムやオレンジピールを試食。参加した子どもたちは「自分の植えた苗木がどう成長するのか楽しみ。収穫してみたい」と話していた。
井上さんは「今日植えた苗に実がなって、安定して販売できるようになるのは少なくとも6年後。時間がかかるが、ぜひこれからも長く関わりを持ってほしい」と呼びかける。
現在、同グループでは園地に程近い物件を、かんきつを通じた交流拠点「柑(かん)きつ亭」として改修を進めている。グループメンバーの室伏多門さんは「地域の人が気軽に立ち寄れるカフェや、廃棄される規格外などのかんきつを加工するシェアキッチンなど、いろいろなアイデアを考えている。この場所を起点に、地域を盛り上げたい」と意気込む。