「海の家 遊beach 大三島(アソビーチ)」(今治市大三島町)が宮浦港からほど近い「与吉ヶ浜」にオープンして、5月11日で1カ月がたった。
今治・大三島の与吉ヶ浜に海の家、運営を手がけるのは地元出身の10代を含む3人のメンバー
運営するのは藤原弘樹さん。生まれも育ちも東京だという藤原さんは、2021年に祖父母の住まいがある大三島に「孫ターン」した。
藤原さんは「大三島には昔から夏休みに遊びに来ていて『将来は島暮らしがしたい』と思っていた。2021年5月、父の急逝をきっかけに島を訪れ、『やっぱりここの景色や空気感はいいな』と感じた」と振り返る。当時、東京と大阪で不動産業などを営んでいたが、島の魅力に取りつかれ移住を決意。同年9月には移住と同時に大山祇(おおやまづみ)神社参道の物件で、「大阪ではやっていた」というクラフトコーラ専門店「オモロカフェ」を開いた。
転機が訪れたのは2年ほど前。「B&G大三島海洋クラブ」(大三島町)が主催するイベントに参加したことをきっかけに、同団体と共に活動を始めた。同団体は地元の子どもや一般を対象にマリンスポーツ体験を提供する民間組織。「今治北高校大三島分校の授業を担当するなど、地域で重要な役割を担っているが、運営するのは有志の地域住民。思いに共感するとともに、今後を見据えてマネタイズやPRも一緒に考えていきたいと思った」と藤原さん。オモロカフェに体験の申込窓口を設けるなどして活動してきたが、「海のそばに拠点があれば」と思い立ち、周囲に相談。同団体メンバーの小池正紀さんから所有していた元民宿の物件を借りるなどの支援を受け、今回の海の家開設に至った。
同店は、B&G大三島海洋センターに隣接し、目の前にはビーチが広がる。改装した店内には、ソファ席や座敷、テーブル席を設け、クラフトコーラやホットドッグなどの軽食を提供するほか、水上バイクやSUPなどのマリンスポーツ体験も用意。大三島分校の卒業生を雇用し、現在は藤原さんを含め3人体制で運営する。
B&G大三島海洋クラブ代表の菅俊喜さんと妻の千恵子さんは「海を眺めながらゆっくり過ごせる場所があればいいなと、憧れを持ってきた。実際に形になるとは感慨深い。くつろげる場所ができてうれしい」と口をそろえる。
すでに改装が終わった1階部分に加え、今後は2階も改装し、地域住民や観光客が過ごせる交流拠点を目指すという。現在、改装資金や運営費用をクラウドファンディングで募っている。目標金額は150万円。目標金額を達成した場合のみ集まった支援金を受け取ることができるオール・オア・ナッシング方式で行う。リターンには、マリンスポーツやテントサウナ体験などを用意する。
藤原さんは「ここにしかない風景やマリンスポーツが楽しめる環境は、地域の貴重な資源。もっとたくさんの人に利用してもらえるよう、活動していきたい」と意気込む。
営業時間は10時30分~21時。水曜定休。クラウドファンディングは「READYFOR(レディフォー)」で6月28日23時まで、受け付ける。