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「奇跡の赤レンガ壁」再建へ 有志が5000筆の署名と陳情書を今治市に提出

「奇跡の壁『柳瀬興業舎赤レンガ壁』保存を希望する市民有志の会」が、今治市の徳永繁樹市長へ5000筆を超える署名簿と陳情書を提出した。

「奇跡の壁『柳瀬興業舎赤レンガ壁』保存を希望する市民有志の会」が、今治市の徳永繁樹市長へ5000筆を超える署名簿と陳情書を提出した。

 「奇跡の壁」とされる「『柳瀬興業舎(こうぎょうしゃ)赤レンガ壁』保存を希望する市民有志の会」が6月2日、今治市役所を訪ね、徳永繁樹今治市長に5000筆を超える署名簿と陳情書を提出した。官民一体となった歴史的遺産の利活用に向けて、新たなスタートラインに立った。

今治・戦禍を耐え抜いた「レンガ壁」 保存・再建求める

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 かつて今治市通町にあり、1945(昭和20)年の今治空襲の激しい爆撃に耐え抜いた「興業舎旧第一工場」のレンガ壁。一時は解体され、市によるデジタルアーカイブ化でその姿を残すのみとみられていたが、原型に近い形での保存・再建を求める市民の声が大きく動き出している。

 この壁は、1886(明治19)年に創業し今治の繊維・タオル産業の礎を築いた「興業舎」(創業者=矢野七三郎ら)が1909(明治42)年に建設した綿ネル工場の外壁の一部。高さ8.3メートル、幅22.2メートルの壮大なレンガ造りだったが、再開発などに伴い、昨年秋に惜しまれつつも解体され、現在は部材として保管されている。

 有志の会の活動の原点には、解体前に壁の近くに暮らしていた90歳の老婦人が漏らした言葉があった。「あの壁を壊してしまうなんて、罰が当たる。終戦後の大変な時期、私たちは焼け野原に立つあの赤レンガの壁を毎日見て、勇気づけられ、生き続けられた。あの壁を残して若い人に見てもらい、平和の大事さを知ってほしい」

 同会の南條高輝会長は当日、陳情書の読み上げでこの言葉を引用し、「今治の近代産業の歩みと、平和の大事さを一言で要約したこの言葉が私たちの心に突き刺さった」と、保存活動へ駆り立てられた胸中を明かした。同会が展開したネットを含む署名活動には、市内外から目標を上回る5000筆以上の賛同が集まっている。

 同会事務局の原田政一さんは、「今治タオルのルーツ」としての意義を強調。「全国の繊維産地が、織った後に染める『後染め』だったのに対し、興業舎は糸の段階で染めてから織る『先染めさらし』の染色工場と設備を持っていた。これこそが、今治が日本有数のタオル産地に急成長した一つの要因」と話す。

 同会メンバーの森隆大朗さんは、デジタル・オンライン署名を通じて今治にルーツを持つ若い世代からも多くの共感が集まったことを振り返りつつ、「業界の人や次の世代、そして観光客にも、この物語を伝える文化的資産として、赤レンガの再建は非常に象徴的なスポットになる」と話した。

 陳情書と、保存活動のシンボルとして制作された「赤レンガ壁Tシャツ」を受け取った徳永市長は、新潟県長岡市への視察例を挙げ、「(同市には)解体前の建物の一部をふんだんに取り入れた新庁舎の先進事例があり、大切な歴史を今に紡いでいる。今治タオル工業組合がどう考えるかを大切にしながら、官民一体となって一緒になって考えていきたい」と前向きな姿勢を見せた。

 赤レンガ壁を巡っては、今治タオル工業組合関係者らの尽力により、今年5月の臨時総会で組合本部がある「テクスポート今治」の敷地内に壁の一部を使ったモニュメントを建設する議案が決議された。

 これを受け、有志の会は今週末にも、所有権を持つ同組合に対し、残された膨大なレンガ部材を活用した「将来的な原型に近い規模での壁再建」を見据えた要望書を提出する。今治市の今後の再開発計画とも連動し、市民が広く親しめる場所での再建を目指す構え。

 南條会長は「莫大な解体・保管費用を負担して部材を残してくれた組合の皆さんを側面支援したい。今回はゴールではなく、官民で知恵を絞るスタートライン。市民の皆さんにも、再建への灯が消えることのないよう、引き続き支援をお願いしたい」と締めくくった。

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